高齢者の見え方の特徴
色や光に対する感覚においても、加齢による特徴的な変化がみられます。
色の弁別機能
色覚は色を知覚する機能の全体を指しますが、そのうち、異なる色を区別する脳のはたらきは色の弁別機能と呼ばれます。
高齢になると、この弁別機能が低下し、色の見え方そのものも若年者とは異なってきます。
色の弁別機能が最も優れているのは20歳代半ば頃で、個人差は大きいですが、年齢が高くなるにつれて徐々に低下していきます。機能低下の背景にあるのは、網膜 の中心部にあたる黄斑で、錐体の視物質 であるオプシンが加齢とともに減少することです。
加齢による色の弁別機能の低下は、すべての色相で同程度に現れるわけではありません。特に赤紫系と青紫系の色相で、弁別機能の低下が著しく現れます。
色の弁別機能の測定
色の弁別機能を測定するには、明度・彩度が同じで色相だけが違う100色を色相順に並べた100色相配列検査器という検査器具を使います。
この器具で行う検査を100hue testといい、エラースコア(間違えた数)によって弁別機能の高さを評価します。
眩しさとコントラスト感
明るさの感じ方も加齢によって変化するため、照明には配慮が必要です。
高齢者が抱える眩しさ
加齢とともに、眼球内では光が散乱しやすくなります。そのため、視野に明るい光が入ってきたときに、眩しさを強く感じるようになります。このような、眩しさを強く感じる状態をグレアといいます。
角膜や硝子体が混濁したり変性したりすることも、グレアを増加させる要因の一つです。
明暗に対する感度
水晶体や硝子体の透過率の低下や、縮瞳 などの影響が重なることで、網膜に到達する光の量は減っていきます。すると、明るさの識別能力や、明暗のコントラストに対する感度が低下してしまいます。
高齢者が視作業を行う場では、照明を明るくしたり、視対象のコントラストを上げたりして、低下した視覚機能を補う工夫が必要になります。
適切な照明の明るさ
照明で視覚機能の低下を補うときは、明るすぎない照明を選ぶことが重要です。必要以上に明るくするとグレアが生じ、かえって見えづらくなってしまいます。
適切な明るさは、その場所で行う行為によって異なります。若年者と比較すると、次のような明るさが目安になります。
- 屋内全体を照らす照明は、若年者の1.5倍程度の明るさにする
- 読書などの視作業を行う場では、若年者の2〜3倍の明るさにする
どの場所をどれだけ明るくするか、利用者に応じた照明設計 が必要です。