等色実験とグラスマンの法則
ドイツの数学者グラスマンは、加法混色の原理について整理し、その法則性を数式でまとめました。
彼がまとめた加法混色の法則性は、グラスマンの法則と呼ばれています。
等色実験
グラスマンは、どんな色光の色であっても、赤・緑・青の3色の色光の量を調整し、重ね合わせることで再現できると実験で証明しました。
ここで使われたのが、次のような等色実験です。
- スクリーン1に、作りたい色(目標色)の光を投影する
- スクリーン2に、赤・緑・青の光を重ねて投影する
- 両者が同じ色に見えるように・・の量を調整する
2つのスクリーンの光が同じ色に見えることを、「等色している」といいます。
等色式
等色したときのの色光の量をそれぞれとすると、目標色は次のように表されます。
記号「」は等色していることを表す記号であり、この記号で結ばれた式を等色式といいます。
条件等色(メタメリズム)
等色している光は同じ色に見えていますが、その成分を表す分光分布は同じとは限りません。
例えば、一つの波長からできている黄色の単色光と、赤と緑の混色でできている黄色の混色光は、同じ黄色に見えますが、分光分布は異なります。
- 黄の単色光の分光分布:黄の波長のみに山がある
- 黄の混色光の分光分布:赤の波長と緑の波長の2つの山がある
このように、分光分布が異なる光どうしが同じ色に見えることを、条件等色(メタメリズム)といいます。
物理的な分光分布まで一致しているわけではないことから、等色式では、完全に等しいことを表す等号「」ではなく、一部の特性が一致することを表す記号「」が使われるのです。
色の三色性
等色実験の結果、次の法則が導き出されました。
この法則は、グラスマンの法則のうち、色の三色性と呼ばれるものです。
互いに独立した3つの色刺激を適切な比率で加法混色することによって、すべての色をつくり出すことができる
色刺激とは、ここでは眼に色を感じさせる刺激となる色光を指します。
互いに独立した色刺激とは、ほかの2色を混色してもつくることができないもの、すなわち原色のことです。原色となる3つの色刺激は、それぞれ原刺激と呼ばれます。
混色では、色光や色刺激、原刺激を表すために、といった角括弧で囲まれた大文字の英記号が使われます。
つまり、わかりやすく言い換えると、色の三色性は、3つの原色(赤・緑・青)による加法混色であらゆる色をつくり出せることを証明しているのです。
再掲した上式の係数は、それぞれ赤の量・緑の量・青の量を表しており、このを三刺激値と呼びます。
混色における混色量や三刺激値を表すときは、のように大文字の英記号が使われます。
重要なのは、このの値が少しでも変わると違う色になってしまうということです。
同じ色であれば、の値の組み合わせも完全に同じになります。ある色は、ある特定のの組み合わせのみでしか表すことができないのです。
このことから、どんな色も、色光の三原色の混色量の組だけを使って表すことができそうです。このことはRGB表色系 の話題に繋がっていきます。
色の等価性
グラスマンの法則のうち、色の等価性とは、次のような法則です。
等色している2色それぞれに同じ色を加えても等色の関係は変わらない
例えば、一つの波長からできている黄色の単色光と、赤と緑の混色でできている黄色の混色光は、同じ黄色に見えます。
色光の加法混色を思い出すと、赤と緑の混色光に、さらに青を加えると、白く見える光になります。
ここで、黄色の単色光にも同じく青を加えると、こちらも白く見える光になるというのが、色の等価性の法則です。
式で見ると、両辺に同じ項を加えても、変わらず等色の記号で結ばれるという法則です。
等色式でも、数学の等式と同じ操作(両辺に同じ項を加える)が可能であることを示しています。
色の加法性
色の等価性から、色の加法性と呼ばれる法則が導き出されます。
複数色の加法混色で得られる色の三刺激値は、元の色の三刺激値のそれぞれの和となる
まず、次の2つの等色関係があるとします。
色の等価性を使うと、に関する等色式の両辺にを加えることができます。
右辺のを、に関する等色式を使って置き換えて、
それぞれの混色量をまとめて書くと、
となり、との加法混色で得られる色の三刺激値は、の三刺激値、の三刺激値のそれぞれの和となることがわかります。
色の連続性
最後に紹介するグラスマンの法則は、色の連続性と呼ばれるものです。
加法混色に使った元の色光の三刺激値のいずれかを変えると、混色の結果作られた色の三刺激値も同じように変化する
例えば、を加法混色してつくった色があるとします。
ここで、赤の光を少しずつ強くする(の値を段階的に大きくしていく)と、混色したも同じく少しずつ赤みが増していくという法則です。