RGB表色系

1級

グラスマンの法則 のうち、色の三色性は、赤・緑・青の3色の割合をさまざまに変化させて組み合わせることで、あらゆる色を表現できるというものでした。

この考え方に基づいて、CIE(国際照明委員会)は、RGB表色系という色の表示方法を定めました。
しかし、実際のところ、このRGB表色系は使われていません。なぜなのでしょうか?

RGB表色系は、色彩検定UC級の公式テキストで「参考」として紹介されています。
色彩検定1級の公式テキストには載っていませんが、XYZ表色系を考える動機として、重要なものです。

RGB表色系の仕組み
1級

RGB表色系では、次の3つの単色光を基準として、色を表現します。

  • :700nm付近
  • :546.1nm付近
  • :435.8nm付近

加法混色によってより多くの色をつくれるようにするために、緑は可視光の中央付近の波長が、赤と青は可視光の両端に近い波長が選ばれています。

これらの単色光を原刺激とし、どのように原刺激を組み合わせればどんな色と同じに見えるのかは、等色実験によって確かめることができます。

例:鮮やかな青緑をつくる
1級

実は、鮮やかな青緑の色光を混色でつくろうとの色を混ぜても、その鮮やかさを再現することはできません。

なぜなら、加法混色はに近づいていく混色方法だからです。
色光を重ね合わせた部分は無彩色である白に近くなり、元の色よりも彩度が低下してしまうのです。

次のような等色実験で確かめてみると、スクリーン2に投影するの量をいくら調整しても、スクリーン1の青緑の単色光と同じ鮮やかな色には見えないことがわかります。

  1. スクリーン1に、鮮やかな青緑の単色光(目標色)を投影する
  2. スクリーン2に、緑・青の光を重ねて投影する
  3. 両者が同じ色に見えるように、スクリーン2に投影する色光の量を調整する(?)

この状況で等色させるには、実はスクリーン1の目標色(鮮やかな青緑の単色光)の方に赤の光を加える必要があります。目標色をとすると、次の等色式が成り立ちます。

補足:等色は錐体の反応のバランス

なぜ赤の光を加えるのでしょうか?
この謎を解きたい方は、L・M・S錐体の分光感度を思い出してみてください。

赤を感じるL錐体は、緑を感じるM錐体や青を感じるS錐体と反応する波長の範囲が重なっているため、L錐体はわずかながら青や緑の波長にも反応してしまいます。
その結果、緑と青を重ねた光を見ると、L錐体は青の波長への反応分と緑の波長への反応分が積み重なって反応してしまいます。

緑と青の混色光に対する反応
(L, M, S) = (中, 大, 大)

一方で、鮮やかな青緑の単色光は、緑と青の混色光とは分光分布が異なります。
緑の波長と青の波長それぞれが山となっている混色光とは異なり、単色光は1つの山に集中しているため、L錐体をあまり刺激しません。

鮮やかな青緑の単色光に対する反応
(L, M, S) = (小, 大, 大)

等色させるには、鮮やかな青緑の単色光の方に赤の光を加えて、L錐体の反応を同じにする必要があるのです。

RGB表色系の限界
1級

スクリーン1の目標色(鮮やかな青緑の単色光)の方に赤の光を加えたら等色するという関係は、次の式で表されるのでした。

これは次のように言い換えることができます。
スクリーン1の方は操作せずに、スクリーン2に投影する光の量の調整だけで等色させるには、今の光を投影しているスクリーン2から、赤の光を引く必要があったということです。

つまり、鮮やかな青緑を色光の混色でつくるには、マイナスの量の赤が混色に必要だったのです。
このように、実際の色光を原刺激として用いて、混色の原理ですべての色を表そうとすると、その混色量(係数)にの値が含まれてしまう場合があります。

しかし、数式上では負の値を扱うことができても、実際には光は加えることしかできません。すでにある光から、たとえば赤の成分だけを取り除くようなことはできないのです。

このようなマイナスの混色量の扱いづらさから、実際の色光を基準としているRGB表色系は使われていません。
代わりに、混色量が負の数にならずに済むような、XYZ表色系 が考えられたのです。