ユニバーサルデザインの考え方
ユニバーサルという語には、「普遍的な」「すべてに共通の」という意味があります。
文化・言語・国籍・年齢・性別・障害の有無・能力の違いなどに関わらず、できるだけ多くの人に伝わり、利用しやすいことを目指した設計がユニバーサルデザインであり、略してUDとも呼ばれます。
多様性とさまざまなデザイン
人の多様性に向き合うデザインの考え方は、1950年代のデンマークで唱えられた社会の理念に始まります。バンク・ミケルセンが提唱したのは、次のような「あるべき」社会の姿でした。
障害の有無によって排除されることなく、すべての人が等しく当たり前に生活できる社会こそがノーマルな社会である
このような理念に基づく社会を実現させるための取り組みはノーマライゼーションと呼ばれます。
障害のある人を社会に合わせるのではなく、誰もが当たり前に暮らせるように社会を変えていくという発想が、ユニバーサルデザインの考え方の出発点になりました。
障壁を取り除く
障害のある人や高齢者には、暮らしの中にも数多くの障壁があります。
この障壁(バリア)を取り除こうとする考え方がバリアフリーです。
バリアフリー
障害のある人を対象とし、既存のものから障壁となる点を取り除く・障壁とならないように専用の機能をつけるといった、後から除去・付加するデザイン
たとえば、段差のある場所に後からスロープをつけるのは、バリアフリーにあたる対応です。
すべての人々を対等にする
バリアフリーが既存のものから障壁を取り除くのに対して、ユニバーサルデザインは、後付けではなく最初から多様な人々の利用を考慮します。
ユニバーサルデザイン
多様なすべての人々を対象とし、最初から利用しやすいように設計されたデザイン
この考え方を提唱したのは、1980年代のアメリカの建築・工業デザイナー、ロナルド・メイスです。
車椅子使用者であった彼は、「車椅子使用者のニーズはベビーカー使用者などのニーズにも近い」ということに着目し、考え方を次のように発展させました。
あるユーザー層への配慮は、時に別のユーザー層への配慮にもなる
たとえば、階段に車椅子専用の昇降機を後付けするのではなく、初めからエレベーターを設けておくという考え方です。エレベーターであれば、車椅子の使用者に限らず、ベビーカーを押す人や高齢者、子供など、さまざまな人々にとって快適に利用できる手段となります。
ユーザーに焦点を当てる
ユニバーサルデザインは、欧州ではアクセシブルデザインと呼ばれるのが一般的です。
日本でもアクセシブルデザイン規格が制定されています。
アクセシブルデザイン
システムを容易に使用できるユーザーを最大限まで増やすために、多様なユーザーに焦点を当てた設計
こうした取り組みを具体的に行うには、どのような人がそのシステムを利用するのかを考えることが必要です。技術の都合や作り手の考えではなく、ユーザーを中心に据えて開発していきます。
ユーザビリティデザイン
ユーザーの満足に向けて、ユーザーの利便性を高めることを第一とする設計
対象ユーザーを設定し、そのユーザーのニーズを拾い上げ、分析・設計・評価を繰り返しながら進めていく開発アプローチは、人間中心設計(HCD:Human-Centered Design)と呼ばれます。
ユニバーサルデザインの7原則
ロナルド・メイスが提唱したユニバーサルデザインの考え方は、のちに多くの研究者によって、次の7原則にまとめられました。
- 誰でも公平に利用できること
- 使う上で自由度が高いこと
- 使い方が簡単で、すぐにわかること
- 必要な情報がすぐに理解できること
- うっかりミスや危険につながらないデザインであること
- 無理な姿勢をとることなく、少ない力でも楽に使用できること
- アクセスしやすいスペースと大きさを確保すること
このうち、原則4を実現するうえで重要になるのが、視覚情報に関わるデザインです。
絵文字によって情報を伝えるピクトグラムは、瞬間的に意味がわかり、ユーザーがわかる言語に依存しないため、とても有用です。
色の使い方も重要であり、色覚の多様性 を考慮した、多くの人にわかりやすく情報が伝わることを目指すデザインは色のユニバーサルデザインと呼ばれます。