光の成分と反射率
ニュートンのプリズム実験
可視光 の存在を発見したのは、イギリスの物理学者アイザック・ニュートンです。
彼は暗室に置いたプリズム(ガラスの三角柱)に太陽の光(白色光)を通し、スペクトル(虹のような色の帯)を映し出すことに成功しました。
また、スペクトルを再度プリズムに通して元の白色光に戻すことにも成功し、太陽光にはさまざまな色光が含まれていることを証明しました。太陽光には可視範囲のすべての波長の光が含まれているため、この実験によって可視光を解明したともいえます。
分光とスペクトル
太陽の光のような白色光は、複数の波長の光が組み合わされた複合光です。
光は波長によって屈折率が異なるため、複合光をプリズムに通すと、含まれている各波長の光に分けることができます。分かれた光の帯をスペクトルといい、スペクトルを構成する、各色の単一波長だけをもつ光を単色光といいます。
一般に、スペクトルとは、光や音など複雑な組成を持つものを成分ごとに分解し、量や強度の順に並べたり、それを図示したものを指します。
このように、複合光を波長ごとの単色光に分けることを分光といいます。
分光分布
どの波長の光がどれくらい強く含まれているか?という、光の成分を表すグラフが分光分布です。
- 横軸:波長
- 縦軸:比エネルギー(光の強さ)
波長が同じであれば、比エネルギーが大きいほど、明るく感じます。
太陽光
可視範囲のすべての波長をほぼ均等に含んでいることから、白色光(光なので実際は無色)であることがわかります。
白熱電球
特に長波長を多く含んでいることから、黄み〜赤みを帯びた光色であることがわかります。
分光反射率曲線
物体がどの波長の光をどれくらい反射したか?という、物体の色の成分を表すグラフが分光反射率曲線です。
- 横軸:波長
- 縦軸:反射率
色と光の関係 で学んだように、私たちは物体の表面で反射されて目に届いた光だけを目にしているので、反射率の分布を見ることで、その物体の色を知ることができます。
赤
赤く見える物体は、長波長の光を多く反射していることがわかります。
緑
緑に見える物体は、中波長の光を多く反射していることがわかります。
青
青く見える物体は、短波長の光を多く反射していることがわかります。
黄
黄に見える物体は、中波長と長波長の光を多く反射していることがわかります。
これは、黄が緑と赤の加法混色 で得られる色であるからです。
白
白く見える物体は、可視範囲のすべての波長の光をほぼ均等に反射していることがわかります。
黒
黒く見える物体は、ほとんど光を反射していません。(可視範囲のすべての波長の光をほぼ均等に吸収しています。)
透明な物体の場合は、反射率ではなく透過率を表した、分光透過率曲線になります。
分光反射率と色の三属性
分光反射率曲線から、その物体の色の三属性を読みとることもできます。
- 色相:反射している波長からわかる
- 明度:全体的な反射率の高さからわかる
- 彩度:反射率の高低差からわかる
明度を読みとる
反射率が全体的に高い色は、明度が高い色です。
特に、無彩色は分光反射率曲線が水平に近いため、その高さで明度を判断できます。
白
灰
ただし、有彩色では各波長に対する眼の感度 も関係するため、反射率の高さと明度は一致しません。
彩度を読みとる
分光反射率曲線の高低差が大きい色ほど、彩度が高い色になります。
- 高低差が大きい:高彩度色
- 高低差が小さい:低彩度色
ある波長だけ強く反射し、他の波長はあまり反射しない場合、反射している波長の色みだけが強く感じられ、他の色みはあまり混ざらないからです。
青
青みがかった灰
光源・物体・視覚の関係
私たちは物体からの反射光を見て色を認識していますが、その反射光は、次の2つの要素によって決まります。
- 光の中にどの波長がどれくらい含まれているか(光源の特性)
- そのうち、物体がどの波長をどれくらい反射したか(物体の反射特性)
1は分光分布で表され、2は分光反射率で表されるものです。
具体的には、波長ごとに光源の比エネルギーと物体の反射率を掛け合わせた値が大きいほど、その波長の光が強く眼に届く(その色が強く見える)ことになります。
反射光の分光分布 光源の分光分布 物体の分光反射率
たとえば、昼光(自然光)の下でリンゴを見たとき、リンゴからの反射光(眼に入る光)の分光分布は、昼光の分光分布とリンゴの分光反射率を掛け合わせたものとして計算できます。
この式は、同じ物体であっても、どんな光源の下で見るかによって、眼に入る光の波長の分布(見える色)が変わることを示しています。
光源の種類によってどのように色の見え方が変わるかについては、照明の章で学びます。