射影変換と同次座標

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アフィン変換 は、同次座標行列の最下行が に固定された変換でした。
この固定を外し、最下行を一般の値まで広げると、遠近感を表せる射影変換が得られます。

同次座標の一般形
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アフィン変換までの変換では、点を が1の同次座標 で表してきました。
しかし、同次座標 では、 の値は1に限らず、一般の値をとることができます。

が1でない同次座標 から通常の座標へ戻すには、 と を で割って とします。ただし は0でないものとします。

定数倍しても同じ点を表す

同次座標には、1つの点を表す書き方が1通りに定まらないという特徴があります。
ある同次座標 に対して、0でない定数 をかけた を考えてみます。これを通常の座標に戻すと、次のようになります。

分子と分母から が約分されて消えるため、結果はもとの とまったく一致します。
つまり、同次座標を定数倍しても、それが表す通常の座標は変わらないのです。

この関係は、 を3本目の軸にとった空間で見ると、直線と平面の関係として捉えられます。

Action

デモまで下にスクロールしてね!

を定数倍した点 をすべて集めると、原点を通る1本の直線になります。
を動かすと点 はこの直線の上を移動しますが、直線そのものは変わりません。

Action

デモでk(定数倍)を動かすと、点k(x, y, w)が直線の上を動くだけ
逆にいえば、定数倍した点の集まりが直線を作っていることになる

この直線が の平面と交わるのは、 成分の がちょうど1になる点です。
が1になるのは が のときなので、交わる点の座標は となります。 をどう動かしても直線は変わらないため、この交点も動きません。

Action

デモでk(定数倍)を動かしても、w = 1の平面との交点(x/w, y/w, 1)は動かない
wで割った座標の値も変わらないことに注目しよう

一方、 と をそのままにして だけを変えると、指す点そのものが変わります。
定数倍では と も と同じ倍率で変わるため、点は元の直線の上を動くだけでした。
しかし、 だけを変えた場合は と が変わらないため、点は元の直線ではなく、原点を通る別の直線を描くようになります。

直線が変わると、 の平面と交わる場所も変わります。 を大きくするほど と は小さくなるので、交点は原点へ近づくことになります。

Action

デモでwを動かすと、直線ごと向きが変わり、w = 1平面との交点も動くことを観察しよう

Three.jsによる実装概要
/**
 * 文字を描いた canvas をテクスチャにして、常にカメラを向く板(Sprite)にする。
 * (x/w, y/w, 1) のような長いラベルもあるので、文字の幅を測って板の横幅を決める
 */
const createLabel = (text: string, color: string, height: number) => {
  const canvas = document.createElement("canvas")
  const context = canvas.getContext("2d")

  let textWidth = LABEL_TEXTURE_HEIGHT
  if (context) {
    context.font = LABEL_FONT
    textWidth = context.measureText(text).width
  }

  canvas.width = Math.ceil(textWidth + LABEL_TEXTURE_PADDING * 2)
  canvas.height = LABEL_TEXTURE_HEIGHT

  if (context) {
    // canvas の大きさを変えると描画状態が初期化されるので、書体はここで指定し直す
    context.font = LABEL_FONT
    context.textAlign = "center"
    context.textBaseline = "middle"
    context.fillStyle = color
    context.fillText(text, canvas.width / 2, canvas.height / 2)
  }

  const texture = new CanvasTexture(canvas)
  texture.colorSpace = SRGBColorSpace
  // 透明な余白まで深度を書くと、あとから描く半透明の面や線がラベルの矩形の形に欠けてしまう
  const sprite = new Sprite(
    new SpriteMaterial({ map: texture, transparent: true, depthWrite: false })
  )
  // 高さを指定の値に揃え、幅は canvas の縦横比から決める
  sprite.scale.set((height * canvas.width) / canvas.height, height, 1)

  return sprite
}

// 1 本の軸を、原点をまたぐ直線・正の向きを指す矢印・軸名のラベルの 3 点セットで作る
const createAxis = (name: string, color: string, direction: Vector3) => {
  const group = new Group()

  const lineGeometry = new BufferGeometry().setFromPoints([
    direction.clone().multiplyScalar(-AXIS_LENGTH),
    direction.clone().multiplyScalar(AXIS_LENGTH)
  ])
  group.add(new LineSegments(lineGeometry, new LineBasicMaterial({ color })))

  // ConeGeometry は +y を向いているので、軸の正の向きへ回してから先端に置く
  const arrow = new Mesh(
    new ConeGeometry(ARROW_RADIUS, ARROW_HEIGHT, 16),
    new MeshBasicMaterial({ color })
  )
  arrow.position.copy(direction).multiplyScalar(AXIS_LENGTH)
  arrow.quaternion.setFromUnitVectors(CONE_UP, direction)
  group.add(arrow)

  const label = createLabel(name, color, AXIS_LABEL_HEIGHT)
  label.position.copy(direction).multiplyScalar(AXIS_LENGTH + LABEL_OFFSET)
  group.add(label)

  return group
}

// 同次座標が指す位置を表す球
const createPoint = (position: Vector3, color: string, radius: number) => {
  const point = new Mesh(new SphereGeometry(radius, 16, 12), new MeshBasicMaterial({ color }))
  point.position.copy(position)
  return point
}

// 同次座標 (x, y, w) の w を 3 本目の軸として立てる。
// Three.js の x・y をそのまま平面の x・y にあて、z を w にあてると、
// w = 1 の平面は x が右・y が上のまま読める板になる
scene.add(
  createAxis("x", X_COLOR, X_DIRECTION),
  createAxis("y", Y_COLOR, Y_DIRECTION),
  createAxis("w", W_COLOR, W_DIRECTION)
)

// 正規化した同次座標が並ぶ w = 1 の平面。
// 奥の直線や点を隠さないよう、薄く塗って深度は書かない
const plane = new Mesh(
  new PlaneGeometry(PLANE_HALF * 2, PLANE_HALF * 2),
  new MeshBasicMaterial({
    color: PLANE_COLOR,
    side: DoubleSide,
    transparent: true,
    opacity: PLANE_OPACITY,
    depthWrite: false
  })
)
plane.position.z = 1
scene.add(plane)

// 一様な塗りだけでは面の傾きが読めず、点が面の上にあるのか手前に浮いているのか分からない。
// 遠近で収束する格子を敷いて、面を見える床にする。外周は枠線として別に引くので、内側の線だけを並べる
const gridPoints: Vector3[] = []
const lineCount = (PLANE_HALF * 2) / GRID_STEP
for (let i = 1; i < lineCount; i++) {
  const offset = -PLANE_HALF + i * GRID_STEP
  gridPoints.push(
    new Vector3(offset, -PLANE_HALF, 1),
    new Vector3(offset, PLANE_HALF, 1),
    new Vector3(-PLANE_HALF, offset, 1),
    new Vector3(PLANE_HALF, offset, 1)
  )
}
scene.add(
  new LineSegments(
    new BufferGeometry().setFromPoints(gridPoints),
    new LineBasicMaterial({
      color: PLANE_COLOR,
      transparent: true,
      opacity: GRID_OPACITY,
      depthWrite: false
    })
  )
)

// 面がどこまで広がっているかを確定させる外周。格子より濃くする
scene.add(
  new LineLoop(
    new BufferGeometry().setFromPoints([
      new Vector3(-PLANE_HALF, -PLANE_HALF, 1),
      new Vector3(PLANE_HALF, -PLANE_HALF, 1),
      new Vector3(PLANE_HALF, PLANE_HALF, 1),
      new Vector3(-PLANE_HALF, PLANE_HALF, 1)
    ]),
    new LineBasicMaterial({
      color: PLANE_COLOR,
      transparent: true,
      opacity: FRAME_OPACITY,
      depthWrite: false
    })
  )
)

const planeLabel = createLabel("w = 1", PLANE_COLOR, VALUE_LABEL_HEIGHT)
planeLabel.position.set(PLANE_HALF - 0.5, PLANE_HALF + 0.28, 1)
scene.add(planeLabel)

// 平面が w 軸のどの高さにあるのかを、軸の目盛りと数字で結びつける。
// どの向きから見ても読めるよう、目盛りは面内の十字にする
scene.add(
  new LineSegments(
    new BufferGeometry().setFromPoints([
      new Vector3(-TICK_HALF, 0, 1),
      new Vector3(TICK_HALF, 0, 1),
      new Vector3(0, -TICK_HALF, 1),
      new Vector3(0, TICK_HALF, 1)
    ]),
    new LineBasicMaterial({ color: W_COLOR })
  )
)

const tickLabel = createLabel("1", W_COLOR, VALUE_LABEL_HEIGHT)
tickLabel.position.set(0, -(TICK_HALF + LABEL_GAP + tickLabel.scale.y / 2), 1)
scene.add(tickLabel)

// 同次座標 (x, y, w) と、それを k 倍した (kx, ky, kw)
const x = -0.57
const y = 0.6
const w = 1.5
const k = 1.6

const base = new Vector3(x, y, w)
const scaled = new Vector3(k * x, k * y, k * w)

// x と y を w で割ると、w = 1 の平面上の点になる
const normalized = new Vector3(x / w, y / w, 1)

// 定数倍でたどれる点をすべて集めると、原点を通る 1 本の直線になる。
// (x, y, w) も (kx, ky, kw) も、正規化した (x/w, y/w, 1) も、この直線の上に並ぶ
const direction = base.clone().normalize()
scene.add(
  new LineSegments(
    new BufferGeometry().setFromPoints([
      direction.clone().multiplyScalar(-LINE_HALF),
      direction.clone().multiplyScalar(LINE_HALF)
    ]),
    new LineBasicMaterial({ color: LINE_COLOR })
  )
)

// 直線が通る原点と、同じ 1 点を指す 3 つの座標
scene.add(
  createPoint(new Vector3(0, 0, 0), ORIGIN_COLOR, ORIGIN_RADIUS),
  createPoint(base, BASE_COLOR, POINT_RADIUS),
  createPoint(scaled, SCALED_COLOR, POINT_RADIUS),
  createPoint(normalized, NORMALIZED_COLOR, POINT_RADIUS)
)

// ラベルは、それが指す点の真上に置く。正規化した点だけは、
// 直線やほかのラベルとぶつからないよう平面の手前(真下)へ置く
const baseLabel = createLabel("(x, y, w)", BASE_COLOR, VALUE_LABEL_HEIGHT)
baseLabel.position.set(base.x, base.y + LABEL_GAP + baseLabel.scale.y / 2, base.z)

const scaledLabel = createLabel("k(x, y, w)", SCALED_COLOR, VALUE_LABEL_HEIGHT)
scaledLabel.position.set(scaled.x, scaled.y + LABEL_GAP + scaledLabel.scale.y / 2, scaled.z)

const normalizedLabel = createLabel("(x/w, y/w, 1)", NORMALIZED_COLOR, VALUE_LABEL_HEIGHT)
normalizedLabel.position.set(
  normalized.x,
  normalized.y - (LABEL_GAP + normalizedLabel.scale.y / 2),
  1
)

scene.add(baseLabel, scaledLabel, normalizedLabel)

同次座標の同値関係

定数倍だけ異なる同次座標どうしは、同じ点を指します。
つまり、同次座標による位置の表現は、定数倍をしても変わらないとみなすことができます。このような関係を同値と呼び、記号 で表します。

ここでの記号 は、定数倍の違いを許して等しいことを意味しています。
同次座標 と、それを定数倍した は、 が0でない限り同値です。

この「定数倍してよい」という自由度のもとで、 をかけて を1にした を代表点として選ぶ操作を正規化といいます。
このような正規化は、「同値な同次座標はどれも同じ点を表す」という同値性に支えられた操作です。この見方は、 が実際に点ごとに変化する次の射影変換で効いてきます。

射影変換
画像処理

同次座標の一般形を使うことで、アフィン変換をさらに拡張した射影変換を定義できます。

アフィン変換では、行列の最下行を に固定していましたが、射影変換ではこの最下行を一般の値にまで広げます。
たとえば、2次元の射影変換は、最下行を とした3行3列の行列で表します。

このかけ算を、最下行に注目して展開してみます。
変換後の 成分、すなわち は、最下行と座標ベクトルの積から得られます。

ここで重要なのは、割る値である が、点の位置 によって変わるという点です。

アフィン変換では最下行の が だったので、 となり、 は常に1に保たれていました。
一方、射影変換では、 や が0でないため、 は入力の座標 に応じて変化します。

点ごとに異なる値で座標を割るため、同じ大きさの移動でも、ある場所では大きく、別の場所では小さく縮められます。この「点ごとに異なる縮め方」が、遠くのものほど小さく見える遠近感を表現することに繋がります。

通常の座標への戻し方

射影変換では、変換後の が1以外の値をとるため、変換後の同次座標 をそのまま通常の座標として扱うことはできません。
そこで、同次座標の一般形で解説した正規化を使って、変換後の同次座標 を で割ることで通常の座標へ戻します。

こうして得られた が、射影変換後の実際の座標となります。

射影変換で保たれる性質

アフィン変換が保っていた性質のうち、射影変換に残るのは直線性だけです。直線は変換後も直線のまま写りますが、平行性は保たれません。平行だった2直線が、射影変換によって交わることがあります。

平行だった2直線が交わる様子は、鉄道のレールや道路の両端が、遠くへ向かうほど近づいて1点に集まって見える様子を思い浮かべると分かりやすいでしょう。
平行性を失うことが、このような遠近感の表現に繋がるのです。

Action

pかqを0以外にすることで、平行性を失う射影変換になる
pだけ0にすると縦線の束、qだけ0にすると横線の束が、遠くの点に集まる様子を見てみよう

  • pとqどちらも0なら、格子は変形しない(最下行が(0 0 1)のアフィン変換)
  • pとqを動かしても、どの線も曲がらずまっすぐなまま(射影変換でも直線性は保たれる)
Three.jsによる実装概要
// Tweakpane で動かす値。射影変換行列の最下行 (p q r) の p・q。
// ここでは初期表示の値をそのまま定数として置く
const p = 0.35
const q = 0.3

// 射影変換の行列。上の 2 行は単位行列のままにして、
// 最下行 (p q r) がもたらす w' の変化だけが見えるようにする
const matrix = new Matrix3().set(
  1, 0, 0,
  0, 1, 0,
  p, q, 1
)

// 同次座標 (x, y, 1) に行列を掛けて (x', y', w') を得たあと、w' で割って通常の座標へ戻す。
// 図は平面なので、戻した座標を z = 0 の位置に置く
const project = (homogeneous: Vector3) => {
  const transformed = homogeneous.clone().applyMatrix3(matrix)
  return new Vector3(transformed.x / transformed.z, transformed.y / transformed.z, 0)
}

// 直線を LINE_SAMPLES 個に分割して、同次座標 (x, y, 1) の列として返す
const sampleLine = (fromX: number, fromY: number, toX: number, toY: number) =>
  Array.from({ length: LINE_SAMPLES + 1 }, (_, index) => {
    const ratio = index / LINE_SAMPLES
    return new Vector3(fromX + (toX - fromX) * ratio, fromY + (toY - fromY) * ratio, 1)
  })

// 変換前の格子を、線 1 本ずつ「細かく分割した点の列」として組み立てる。
// 横線の束と縦線の束はそれぞれ別の消点へ集まるので、束ごとに分けて持つ。
// 上下の端の 2 辺(本文で注目する「平行だった 2 直線」)は色を変えるので、さらに分ける
const innerHorizontals: Vector3[][] = []
const parallelEdges: Vector3[][] = []
const verticals: Vector3[][] = []
const lineCount = (SQUARE_HALF * 2) / GRID_STEP
for (let i = 0; i <= lineCount; i++) {
  const offset = -SQUARE_HALF + i * GRID_STEP
  verticals.push(sampleLine(offset, -SQUARE_HALF, offset, SQUARE_HALF))
  const horizontal = sampleLine(-SQUARE_HALF, offset, SQUARE_HALF, offset)
  if (i === 0 || i === lineCount) parallelEdges.push(horizontal)
  else innerHorizontals.push(horizontal)
}

// 折れ線をまとめて 1 つの LineSegments で描く。隣り合う点を 2 つずつ線分として並べる
const createPolylines = (lines: Vector3[][], color: ColorRepresentation, opacity = 1) => {
  const points = lines.flatMap((line) =>
    line.slice(0, -1).flatMap((point, index) => [point, line[index + 1]])
  )
  return new LineSegments(
    new BufferGeometry().setFromPoints(points),
    new LineBasicMaterial({ color, transparent: opacity < 1, opacity })
  )
}

// 分割した点をすべて個別に変換する。
// 射影変換は直線を直線のまま写すので、どれだけ細かく分割しても折れ線は折れない。
// 一方で点の間隔は w' で割った分だけ変わるので、等間隔だった格子が片側へ詰まる
const projectLines = (lines: Vector3[][]) => lines.map((points) => points.map(project))
const projectedInner = projectLines(innerHorizontals)
const projectedEdges = projectLines(parallelEdges)
const projectedVerticals = projectLines(verticals)
scene.add(
  createPolylines([...projectedInner, ...projectedVerticals], GRID_COLOR),
  createPolylines(projectedEdges, EDGE_COLOR)
)

// 消点。x 方向の無限遠点(同次座標では w が 0 の点 (1, 0, 0))と、
// y 方向の無限遠点 (0, 1, 0) を、それぞれ変換して正規化した点。
// 最下行のはたらきで w' が p・q になるので、(1/p, 0) と (0, 1/q) に現れる
// (p や q が 0 なら w' も 0 のままで、その束は平行なまま交わらない)
const horizontalVanishing = project(new Vector3(1, 0, 0))
const verticalVanishing = project(new Vector3(0, 1, 0))

// 変換前は平行だった線を、像の直線に沿ってそのまま伸ばす。
// 像の直線は消点を通るので、消点に近いほうの端から消点まで結べば延長線になる
const extendToVanishing = (lines: Vector3[][], vanishing: Vector3) =>
  lines.map((points) => {
    const start = points[0]
    const end = points[points.length - 1]
    const near =
      start.distanceToSquared(vanishing) < end.distanceToSquared(vanishing) ? start : end
    return [near, vanishing]
  })

scene.add(
  createPolylines(
    [
      ...extendToVanishing(projectedInner, horizontalVanishing),
      ...extendToVanishing(projectedVerticals, verticalVanishing)
    ],
    GRID_COLOR,
    EXTENSION_OPACITY
  ),
  createPolylines(
    extendToVanishing(projectedEdges, horizontalVanishing),
    EDGE_COLOR,
    EXTENSION_OPACITY
  )
)

// 無限遠点をすべて集めた直線(無限遠直線)の像は、p x + q y = 1 という直線になる。
// どの向きの平行線の束も、その消点はこの直線の上に乗る。遠近法でいう地平線にあたる。
// 原点にいちばん近い点を通り、(p, q) に垂直な向きへ伸びる直線として引く
const norm = Math.hypot(p, q)
const horizonCenter = new Vector3(p, q, 0).multiplyScalar(1 / (norm * norm))
const horizonDirection = new Vector3(-q, p, 0).multiplyScalar(HORIZON_HALF / norm)
scene.add(
  createPolylines(
    [[horizonCenter.clone().sub(horizonDirection), horizonCenter.clone().add(horizonDirection)]],
    VANISHING_COLOR,
    HORIZON_OPACITY
  )
)

// 2 つの消点
const createPoint = (position: Vector3) => {
  const point = new Mesh(
    new SphereGeometry(POINT_RADIUS, 16, 12),
    new MeshBasicMaterial({ color: VANISHING_COLOR })
  )
  point.position.copy(position)
  return point
}
scene.add(createPoint(horizontalVanishing), createPoint(verticalVanishing))

どの向きの平行線の束でも、集まる点はデモで2点を通って引かれた1本の直線の上に並びます。この直線が、遠近法でいう地平線に対応します。
等間隔だった格子が集まる点の側へ詰まっていくのは、点ごとに異なる で割っているためです。

射影変換は、3次元空間をカメラやスクリーンの2次元平面へ写す透視投影の基礎となります。

発展:平行線と無限遠点

平行な2直線が交わって見えるしくみは、 が0の点を使うことで捉えられます。

が0の同次座標 は、 で割って通常の座標へ戻そうとすると0による除算になってしまい、通常の座標を計算できません。通常の座標 で位置を表せる点、すなわち原点から有限の距離にある点としては表せない、ということです。

そこで が0の同次座標は、無限に遠い点、すなわち無限遠点を表すものと解釈されます。無限遠点は、平面上の特定の位置ではなく、「 の向きにどこまでも進んだ先」という方向を表す点だと考えるとよいでしょう。

無限遠点が位置ではなく向きで決まる点であることは、「平行線どうしが無限遠点で交わる」ことの理解にも繋がります。
平行な2直線は向きが等しいので、それらの無限遠点は1つに定まります。2本の平行線がたどり着く無限遠点は、同じ1つの点になるのです。

アフィン変換では最下行が なので、無限遠点( が0の点)を変換しても は0のまま保たれ、無限遠点は無限遠点のまま写ります。そのため、平行線は平行なまま保たれます。

ところが射影変換では、最下行 のはたらきで が変化するため、 が0だった無限遠点が、 が0でない有限の点へと写ることがあります。
たとえば、3次元世界の光景を写真に写しとる操作を射影変換で行うと、決して到達できないはずの無限遠点が、変換後は画像内の座標として表せる位置(有限の点)に現れます。

このような、射影変換によって無限遠点が写った先の有限の点は消点と呼ばれます。消点は、平行な線が交わるように見える点として、遠近法の表現で重要な役割を果たします。

平行性を保たない射影変換では、「平行な線がどこかで交わる」という、一見不思議な現象が起こります。そして、この現象は現実世界での遠くのものの見え方と一致するため、光景を画像として描き起こすCGや画像処理では、射影変換が重要となるのです。